障害者手帳と障害年金の違いは?【手帳がなくても受給できる?社労士が解説】

1.障害者手帳と障害年金は同じ制度なの?

「障害者手帳を持っているから、障害年金も受給できるの?」「手帳を持っていないと、障害年金は申請できない?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論からいうと、障害者手帳と障害年金は、目的も認定基準も異なる別々の制度です。どちらか一方を利用しているからといって、もう一方を自動的に利用できるわけではありません。

それぞれの違いを知ることで、ご自身に必要な支援や手続きを考えやすくなります。


2.障害者手帳と障害年金は何が違うの?

主な違いを整理すると、次のようになります。

比較する項目

障害者手帳

障害年金

制度の目的

障害のある方が福祉サービスや各種支援を利用しやすくする

病気やけがで生活・仕事が制限された方に、要件に応じて年金を支給する

受けられるもの

手帳の種類・等級等に応じた各種サービス、助成、割引など

障害基礎年金・障害厚生年金などの金銭給付

主な判断事項

手帳ごとに定められた障害の種類・程度など

初診日、保険料納付状況、障害の程度など

主な相談・申請先

市区町村の障害福祉担当窓口

年金事務所・市区町村の国民年金担当窓口など

 

例えば、障害者手帳を取得すると、税の軽減や公共交通機関の割引などを受けられる場合があります。ただし、利用できるサービスや条件は、手帳の種類、お住まいの地域、事業者によって異なります。


3.障害者手帳にはどんな種類があるの?

「障害者手帳」は、次の3種類の手帳をまとめた呼び方です。

手帳の種類

主な対象・特徴

身体障害者手帳

視覚・聴覚、手足、心臓や腎臓など、身体の機能に一定以上の障害がある方。

精神障害者保健福祉手帳

うつ病、統合失調症、発達障害など、精神障害によって生活上の制約がある方。等級は1~3級。

療育手帳

知的障害があると判定された方。区分や判定基準などは自治体により異なります。

 

身体障害者手帳には原則1~6級の交付区分があり、精神障害者保健福祉手帳は1~3級です。一方、療育手帳の区分は自治体によって異なります。


4.障害者手帳がなくても障害年金は請求できるの?

はい。障害者手帳を持っていなくても、障害年金を請求することはできます。障害年金の請求にあたって、事前に障害者手帳を取得することは必須条件ではありません。

反対に、すでに障害者手帳を持っていても、そのことだけで障害年金の受給が決まるわけではありません。障害年金には、手帳とは別の受給要件があるためです。

例えば、病気やけがで日常生活に大きな支障があっても、障害年金の保険料納付要件などを満たしていない場合、受給できないことがあります。※20歳前の年金未加入期間に初診日がある場合などは例外があります。


5.障害者手帳の1級なら、障害年金も1級になるの?

いいえ。手帳の等級と障害年金の等級は、必ずしも一致しません。

例えば、精神障害者保健福祉手帳で2級と認定されていても、障害年金が当然に2級になるわけではありません。身体障害者手帳についても同様です。

障害年金は、病気やけがの種類ごとに定められた障害認定基準により、検査結果や日常生活・就労への影響などを確認して判断されます。手帳の等級だけで受給の可否を判断しないことが大切です。


6.障害者手帳と障害年金は両方利用できるの?

はい。それぞれの制度の要件を満たせば、障害者手帳と障害年金の両方を利用できます。

例えば、障害者手帳による交通機関の割引などを利用しながら、障害年金を受給することも可能です。障害者手帳を取得したことを理由に、障害年金が減額される仕組みではありません。

ただし、手帳に関係する福祉サービスには、それぞれ利用条件がある場合があります。詳しくは自治体などに確認しましょう。


7.障害年金を請求するには、何を確認すればいいの?

障害年金の受給を考える際には、主に次の3つの要件を確認します。

確認すること

内容

① 初診日

障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日。

② 保険料納付要件

初診日の前日時点で、所定の保険料納付・免除の条件を満たしているか。※例外あり。

③ 障害の程度

障害認定日などに、障害年金の認定基準に該当する状態か。

 

障害基礎年金は1級・2級、障害厚生年金は1級~3級が対象です。初診日に加入していた年金制度によって、請求できる年金の種類も異なります。

障害年金を検討している場合は、手帳の取得を待つのではなく、まず受診歴や年金の加入状況を確認することをおすすめします。

まとめ|手帳と年金は、それぞれの要件を確認しましょう

障害者手帳は、福祉サービスなどを利用しやすくするための制度です。一方、障害年金は、病気やけがによって生活や仕事が制限される方を対象とした年金制度です。

「手帳を持っていないから障害年金は無理」「手帳が1級だから年金も1級」と決めつける必要はありません。どちらも別々の基準で判断されるため、それぞれの制度について確認することが大切です。

障害年金の対象になるか分からない場合は、受診歴や現在の生活状況を整理し、年金事務所や障害年金に詳しい社会保険労務士に相談してみましょう。

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